法医学の顕微鏡アプリケーション
科学捜査のDNAプロファイリング
ヒトのゲノムDNAの解析
DNAプロファイリングは、法医学に画期的な進歩をもたらしました。DNAプロファイリングでは、犯罪現場や中央データベースである統合DNAインデックスシステム(CODIS)などから得られた遺伝子情報と容疑者のDNAを比較します。ヒトのゲノムDNAは、シークエンスの違いを利用した個人の特定や親子鑑定に使われます。
犯罪現場の生体エビデンスに含まれるDNAを解析することで、当事者の特定に役立つ貴重な情報が得られます。ここでは、「ショートタンデムリピート(STR)」と呼ばれるDNA多型で示される遺伝情報を解析します。STRの多型性は、短い塩基配列の繰り返し回数が一人ひとり違うことで生まれます。選択能力の高い検査ですが、試料の回収と不純物の混入に関する問題があります。生体物質が付着した様々なものが試料になります。
科学捜査のDNA解析の対象となる一般的な生体物質
|
|
|
---|---|---|
試料の観察には実体顕微鏡が欠かせません。実体顕微鏡は広い実視野、使いやすく人間工学に基づいた設計、優れた色再現性を備え、様々な試料上の生体物質の観察とデジタルドキュメンテーションを素早く正確に行うことができます。最新の電動式ズーム顕微鏡には、蛍光イメージングのオプションや、優れた分解能とマニュアル操作時の自動化機能が搭載されています。専用の蛍光顕微鏡は、調査対象となる試料に含まれる微量のDNAを同定することができるため、科学捜査のワークフローに役立ちます。不純物を含めずに分子解析を行うには、ごく僅かな生体物質さえも抽出できるレーザーキャプチャーマイクロダイセクション(LCM)が最適です。
アプリケーション例
Sperm Hyliter、明視野でZEISS Axioscope 5で取得
ZEISS Axioscope 5で取得。ご提供:M. Schatzl, Dr. U. Schacker, Galantos Genetics Mainz, Germany
ZEISS Axioscope 5で取得。ご提供:M. Schatzl, Dr. U. Schacker, Galantos Genetics Mainz, Germany