細胞培養用顕微鏡ソリューション
ラボの顕微鏡アプリケーション

細胞培養用顕微鏡ソリューション

生体外の人工環境における培養基での細胞の増殖

生細胞に関する生物医学研究は、オランダ人物理学者のフリッツ・ゼルニケが位相差という概念を発明した1934年に劇的な進化を遂げました。その後2年で、ZEISSはゼルニケの独自設計を活用し、世界初となる位相差顕微鏡のプロトタイプを完成させました。1953年にゼルニケがノーベル物理学賞を受賞したこのコントラスト法は、ガラスやプラスチック上の培養細胞などの未染色の試料に最適で、今日でも多くの細胞生物学者に選ばれています。

細胞培養は、細胞生物学や製薬、バイオテクノロジーから細胞療法、再生医療に至るまで、幅広い研究分野において重要です。細胞培養(組織培養とも呼ばれる)は、生体外(in vitro)の人工環境における培養基での細胞の増殖を扱うもので、接着細胞、浮遊細胞、初代細胞、幹細胞、細菌、菌類、植物細胞などの培養が含まれます。最後の3つは、それぞれ微生物培養、真菌培養、植物組織培養と呼ばれることもあります。

細胞や組織の生物学的研究では、多くの場合、モデル生物や不死化細胞株が使用されます。このような細胞株は、ペトリ皿、フラスコ、マルチウェルプレートなどの専用容器で培養され、栄養素や場合によっては補助栄養素を含んだ培養基により、細胞の最適な増殖に必要な環境が整えられます。細胞の種類によっては、生体内の条件を模す目的で、特定の温度、湿度、CO2濃度、O2 濃度を用いる必要があります。哺乳類の細胞株のほとんどが、37℃、CO2 5%の環境下で、インキュベーター内で培養されます。

細胞培養用顕微鏡ソリューション

顕微鏡の要件

細胞培養ラボでは、日常的に顕微鏡を使用して細胞増殖や細胞の活性が調べられています。これには、細胞占有面積率、細胞形態が正常かどうか、不純物の有無、培養基の交換時期などの確認が含まれます。これらのタスクには、主に50倍~200倍の倍率での位相差顕微鏡撮影が必要です。また、素早く作業を行い、インキュベーター外での時間を最短にすることが求められます。したがって、細胞培養用の顕微鏡は、クリーンベンチの内側やインキュベーターの近くの実験台上に収まる小型なものでなければなりません。シンプルで使いやすい顕微鏡であれば、ターンアラウンドタイムの短縮に貢献するとともに、細胞の歪みも最小にできます。細胞がある占有面積率に達すると、継代が必要となります。細胞を新しい培養容器に移動する前に、セルカウンターやMakler chamberなどの計算盤を用いて細胞数を求め、次に適切な希釈倍率を計算します。細胞培養には優れた慣習が不可欠です。なぜなら、研究で有意義な再現性のある結果を得るための基盤となるからです。

そのほかにも、細胞培養ラボでは顕微鏡を使用した多くの手順が行われています。一般的なアッセイには、スクラッチアッセイ、創傷治癒アッセイ、細胞生死アッセイ、トランスウェルやトランスロケーションアッセイが含まれます。位相差や明視野での観察以外に、蛍光が使用されることが増え、現在は標準的な手法となりつつあります。細胞や組織内のタンパク質に免疫蛍光マーカーを使用してラベル付けをします。さまざまな蛍光色素(DAPI、Hoechst、GFP、Alexa 488、RFP、Texas Red、Cy3など)を使用することで、マルチチャンネル蛍光顕微鏡法により、シグナルを区別してその位置を特定することが可能です。

一方、生きている細胞は外来のDNAまたはRNAで(ウイルスによるトランスフェクションまたはウイルスによらないトランスフェクションにより)トランスフェクトして、蛍光タンパク質などを発現させることができます。安定したトランスフェクションが望ましい場合、このプロセスは手間がかかることが多いため、蛍光顕微鏡が適しています。この手順では、発現レベルやトランスフェクション効率が重要な指標となります。試料にダメージを与えない蛍光ビジュアライゼーションや蛍光イメージングを最も効果的に達成できるのは、発光ダイオード(LED)です。水銀灯などの他の蛍光光源と比較して、不要な紫外(UV)光に由来する光毒性作用が低減されます。また、LEDは寿命が非常に長くメンテナンスも不要です。

アプリケーション例

短い培養期間後にAxio Observerで取得。
MDCK細胞(イヌ)短い培養期間後にAxio Observerで取得
Axiovertで取得した明視野画像。
タバコのプロトプラスト:Axiovertで取得した明視野画像
細胞培養のライブイメージング、GFPアクチン染色。
細胞培養をライブイメージングしたU2OS細胞、GFPアクチン染色。
位相差画像:Primovertで取得。
HeLa細胞の位相差画像:Primovertで取得
  • 培養細胞の再現性


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