石灰化組織標本の詳しい情報を得る
ナノスケールまでのマルチスケール骨撮影
骨研究では、試料の特性評価や骨形態計測にX線イメージングが欠かせません。マイクロCT(µCT)は、非破壊で3Dデータセットを取得するための一般的なX線技術です。他の顕微鏡手法と異なり、X線イメージングではそのままの試料を使えるため、カットやセクショニングは不要です。
骨形態計測
骨微細構造を簡単に計測
X線イメージングにより骨の構造や状態に関する情報や、骨梁幅、BV/TV、皮質と海綿骨の比率などの重要なパラメーターを取得できます。マイクロCTデータセットに基づく骨形態計測に一定性や再現性を持たせるには、標準的な手法による試料調整、画像取得、画像処理が必要です1。ZEISS Xradiaを始めとするハイコントラストのX線機器を使うことで、標準的な取得を素早く簡単に行うことができます。
正確で優れた骨形態計測
ZEISS Xradia ContextマイクロCTはミリメートルからセンチメートルの大きさの試料の撮影に最適で、優れた画質とコントラストが得られます。大型試料でも高分解能イメージングが可能な2段階拡大を備えたX線顕微鏡ZEISS Xradia Versaは、骨研究者に新たな可能性を提供しています2。それらをDragonfly Proの骨解析モジュール3と組み合わせることで、骨微細構造の評価と定量のための強力で堅固なソリューションが実現します。
骨質と力学的性質の評価
マイクロからナノのレベルでの構造解析
骨のマルチスケール撮影により、様々なスケールでの骨構造情報が豊富に得られます。X線顕微鏡ZEISS Xradia Versaの多彩な対物レンズを使うことで、異なるスケールで骨を特性評価し、その階層構造を明らかにすることができます2。
骨小腔を使い骨の状態と構造を評価
高分解能X線顕微鏡データを使って、骨小腔の位置、広がり、大きさを評価することができます4。従来のマイクロCTでは、分解能とコントラストの限界により、このような情報を得ることは困難でした5。
骨組織のひずみ分布をin situで測定
骨の構造と機能の関係を詳細に調べるためには、ひずみ分布を理解する必要があります。骨組織や生体材料の構造が力学的性質に与える影響や骨・関節・周囲組織の荷重伝達を評価することができます。In situイメージングは4D評価のための強力な手法です。X線放射線顕微鏡Xradia Versaを使って試料の内部構造を高分解能でin-situ観察し、必要に応じて圧縮後にこの工程を繰り返すことができます。さらにデジタルボリューム相関(DVC)を使って、各試料の3D全体像でひずみの分布や大きさの評価が可能です5。
骨3D解析のスループット向上
深層学習を利用した再構築によるノイズ削減と取得時間短縮の両立
骨微細構造のX線3D評価に再現性と堅固性を持たせるためには、多くのデータポイントが必要です。市販の3D X線システムのほとんどがFeldkamp-Davis-Kress(FDK)アルゴリズムを利用しています。FDKアルゴリズムでは優れた画質が得られますが、ノイズやアーチファクトを減らすために、多くの投影像や長い露光時間が必要になります。ZEISSの深層学習再構築法(DeepRecon)では、必要な2D投影像が大幅に減少するため、取得時間が短縮され、マイクロCTのスループットが最大で10倍向上します。
DeepReconを使うことで、X線ビームラインハードウェアを追加することなく、筋骨格系の3D解析のスループットを向上させるとともに、ノイズ軽減によって構造やグレースケール上の微小な違いを明らかにすることができます。
イメージングの使用事例
Future Technology Centre, University of Portsmouth
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1
M.L. Bouxsein et al. (2010), https://doi.org/10.1002/jbmr.141
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2
N.K. Wittig et al (2022), https://doi.org/10.1016/j.jsb.2021.107822
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3
Dragonfly Pro Bone Analysis Module, https://theobjects.com/dragonfly/bone-analysis.html
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4
S. Suniaga et al (2018), https://doi.org/10.1038/s41598-018-21776-1
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5
Bonithon et al., Acta Biomaterialia, 2021, https://doi.org/10.1016/j.actbio.2021.03.068