製薬・バイオテクノロジー分野におけるAI主導の顕微鏡画像解析
産業ソリューション

製薬・バイオテクノロジー分野におけるAI主導の顕微鏡画像解析

大規模で複雑なデータセットから画期的な発見を導き出す

生物医学研究の飛躍的な進展は、製薬およびバイオテクノロジー業界に新薬やアプリケーション、技術を開発する機会をもたらしています。イノベーションには複雑な実験計画が要求され、その結果、管理不可能な多次元のデータセットとならざるを得ません。企業は、自動化された解析がなければ、データ収集を画期的な発見へとつなげることの難しさに直面するでしょう。ZEISSのAIを駆使した画像解析は、イノベーションを支援する3つの主要な課題に取り組んでいます:

  • インサイト:画像データを分析し、包括的な読み取り結果を抽出
  • 自動化:大容量データのスループット向上と効率化
  • 再現性:ユーザーや場所を問わず、今日も明日も信頼できる結果を保証
従来の画像解析手法に基づく細胞核のセグメンテーション

従来の画像解析手法に基づく細胞核のセグメンテーション

従来の画像解析手法に基づく細胞核のセグメンテーション

従来の画像解析手法に基づく細胞核のセグメンテーション

従来の画像解析手法に基づく細胞核のセグメンテーション

古典的な画像解析の限界

長い間、創薬およびバイオテクノロジー分野の研究者たちは、画像解析を自動化する方法を追求してきました。一般的なアプローチは、一連の処理関数(スムージング、エッジ検出など)を適用し、その後に閾値ベースのセグメンテーションを行うことでした。そのようなシーケンスでは、核、細胞、その他の目的の細胞内の特徴を同定してカウントするような、典型的なタスクのための基本的な解析パイプラインを設定することができます。この古典的な閾値ベースの画像セグメンテーションは、多くの標準的な画像解析タスクに威力を発揮するにもかかわらず、複雑なデータセットの大規模な解析においては大きな後退の原因となる限界が潜んでいます。

これらのアルゴリズムは、画像パラメータのごく一部、特に明るさのみを考慮しています。画像は標的シグナル輝度と均一なバックグラウンドの点で、高度に一貫性が保たれていなければなりません。このようなパイプラインは、異種の画像セットで失敗することが多く、アーチファクトや不完全な解析の原因となります。パイプラインの構築とテストには、分析アルゴリズムの経験と熟練が求められます。画像解析を行う科学者の専門知識レベルにばらつきがあったり、必要な専門知識が不足している場合、特定のスキルセットに依存することは、一貫性のない結果を招くおそれがあります。

人工知能を活用した自動画像解析の進化
人工知能を活用した自動画像解析の進化

人工知能を活用した自動画像解析の進化

人工知能(AI)は、コンピュータが人間の知能を模倣することを可能にするものです。AIは、私たち人間の学習方法と同じように、明示的にプログラムされることなく、画像内の物体を識別することで学習します。

AIの一形態である機械学習(ML)は、データから機能パターンを抽出することで機械に学習させます。つまり、MLはピクセルの輝度だけでなく、テクスチャー情報などの特徴を評価することができるため、変化の激しい画像を含むデータセットから、よりロバストな結果を得ることができるのです。

深層学習(DL)は、数百万ものパラメータを持つ膨大なデータを解釈して学習するMLの特殊な形態です。DLは、アルゴリズムにデータを供給するため、より多くのデータを必要とする一方で、ネットワーク化されたニューロンの複数の層がデータを処理する方法を模倣し、非常に複雑で分割が困難なデータセットをうまく処理することができます。

骨肉腫細胞
骨肉腫細胞

DAPI染色した核を青色で示した骨肉腫細胞(左)、従来の機械学習を用いた核のセグメンテーション(中)、セグメンテーション後に核をそれぞれ流域分割したもの(右)

DAPI染色した核を青色で示した骨肉腫細胞(左)、従来の機械学習を用いた核のセグメンテーション(中)、セグメンテーション後に核をそれぞれ流域分割したもの(右)

AIを活用したパイプラインが困難なシナリオで優れた結果を生む

ZEISSは、細胞核など、興味深い特徴を含む画像の代表的なサブセットを用いてAIを訓練します。従来の画像解析のように、望ましいセグメンテーションの結果を得るために一連の処理ステップを定義するのではなく、トレーニングで望ましい結果が強化され、AIが自動的にアルゴリズムを最適化して、このセグメンテーションを達成するようになっています。AIを活用した解析パイプラインは、低コントラスト画像(ラベルフリーなど)や高密度オブジェクトを含む画像(コンフルエントな細胞培養や組織など)のような、特に困難なイメージングシナリオに適用した場合でも、優れた結果をもたらします。そのうえ、AIパイプラインが容易に自動化され、大規模なデータセットに適用されることで、生物学的現象に関するロバストで統計的に関連性のある洞察が導き出されるのです。

AIを活用したZEISS画像解析エコシステム

AIを活用したZEISS画像解析エコシステム

AIを活用したZEISS画像解析エコシステム

AIを活用したZEISS画像解析エコシステム

AIベースの画像解析ワークフローは、正確な画像セグメンテーションや分類を自動化と組み合わせ、再現性の高いハイスループットなデータ解析を実現します。AI解析ワークフローを適用することで、バイオ医薬品研究チームは、初期研究・発見から前臨床試験、IND可能試験、さらにその先に至るまで、より優れた新薬候補の特定と開発の成功を後押しすることができるでしょう。
その利点は2つ挙げられます:

  • 開発後期での失敗に伴う高い消耗コストを回避する
  • 市場投入までの時間を短縮し、競争上の優位性を獲得する

ZEISSのソフトウェアソリューションは、あらゆるレベルのユーザーがAIを活用できるようにし、生産性を向上させます:

  • クラウドベースのarivis Cloud学習プラットフォームは、ユーザーにコーディング等のスキルを要求することなく、深層学習モデル開発のためのトレーニングデータセットを、簡単かつ効率的にラベリングさせます。
  • ZEISS ZENソフトウェアでは、画像解析設定や合理化されたBio Appsワークフローの一部として、深層学習モデルを実用化することができます。
  • 解析タスクが非常に複雑であったり、データサイズが非常に大きい場合、解析パイプラインはarivis Proでの展開が有益です。arivis Proは、困難な多次元データセットのための高効率画像解析スイートです。また、AIを活用した解析パイプラインをサーバーベースの解析プラットフォームarivis ProHubに接続し、スループットとスケールを追加してarivis Pro解析テクノロジーを強化することができます。

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    このページの画像は研究内容を表すものです。Axioscan 7スライドスキャナーで取得した情報に基づいて、ZEISSが患者の疾患の診断や治療の推奨を行うことは決してありません。