シリアルブロックフェイスSEM
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シリアルブロックフェイス走査電子顕微鏡(SBF-SEM)では、SEMチャンバー内部に設置されたウルトラミクロトームを使用して、樹脂包埋された生体試料の微細構造を広範囲にわたり3Dでイメージングします。
ダイヤモンドナイフで試料ブロックから切片を切り出し、露出した試料表面を電子ビームと反射電子検出器でイメージングします。試料のZ方向に目的のスタック(またはスタック全体)が得られるまで、切断とイメージングのプロセスを自動で繰り返し行います。
個々の2D画像をスティッチングして並べ、試料の3Dボリュームを作成します。
脳内の神経回路と神経細胞の形態を理解する
脳は、数百万の神経ネットワークとシグナル伝達経路を有する複雑な器官です。脳組織の構造と機能との関係を理解することは、この複雑さを部分的に解明するのに役立ち、神経ネットワークの構造と機能を深く理解することにつながり、長期的には特定の疾患の医療介入による治療法の解明にも役立ちます。SBF-SEMは、樹状突起や軸索など、神経細胞の細長く突出した構造を連続的にイメージングするのに最適なソリューションです。
この動画は、SBF-SEMを用いて取得したマウスの脳試料の断面を示しています。それぞれのシングルブロックフェース画像ではっきりと高分解能で観察され、異なる構造を識別することができます。ご提供:Prof. Mark Ellisman, University of California, San Diego, USA
この画像は、マウスの脳を樹脂に包埋し、反射電子検出器とSBF-SEM装置を用いて高分解能3Dボリュームを自動生成したスタックです。ご提供:Naomi Kamasawa, Max Planck Florida Institute, R. Shigemoto, Nation Institute for Physiological Sciences Okazaki, Japan
このアニメーションは、脳組織の3Dデータから取得した単一切片(X-Y)を実行しています。3Dボリュームが完全に再構成されているため、直接イメージングしなかった平面(X-Z、Y-Z)の可視化も可能です。7 nmピクセル、切片厚さ15 nmで、合計75枚の画像を取得しました。ご提供:Naomi Kamasawa – Max Planck Florida Institute, Jupiter, USA, and Ryuichi Shigemoto – National Institute for Physiological Sciences Okazaki, Japan
Z方向に並んでいる単一のニューロンと細胞コンパートメントが容易に特定できます。
マウス脳
神経生物学的試料の神経回路網とシナプスの観察
SBF-SEMでは、高分解能3Dイメージングによりこのマウス脳のような試料をイメージングし、単一のニューロンと細胞コンパートメントを観察できます。この試料は、SBF-SEMを用いて7 nmピクセルの画像を75枚スタックし、ミクロトームで切片ごとに15 nm切り取るように設定してイメージングしました。
マウスの脳(シナプス後膜肥厚を染色しPSD95-APEX2を発現、培養した海馬のニューロン)
神経の形態と神経回路網を理解するために、培養した海馬のニューロンを観察する
神経の形態と神経回路網の基本を理解するために重要なのは、樹状突起や軸索、細胞突起、神経細胞間の結合などの特徴を高分解能でイメージングすることです。
これらの画像は、シナプス後肥厚(矢印)を染色したPSD95-APEX2を示す、培養された海馬ニューロンの3Dデータセットの1枚の切片です。画像は、SBF-SEMとFocal Charge Compensationを使用して取得しました。帯電効果の除去によって高分解能で観察でき、薄い樹状突起や結合などの微細構造が視認できます。ご提供:National Center for Microscopy and Imaging Research NCMIR, University of California, San Diego, USA
多発性硬化症とパーキンソン病を理解するための軸索の髄鞘形成の研究
多発性硬化症やパーキンソン病等の疾患においては、軸索の髄鞘形成に変化が生じます。電子顕微鏡写真は、単一のミエリン層板を計数し、鞘の厚さを測定するのに十分な高分解能情報を提供します。これらの試料の構造はまばらなため、導電性でないむき出しの樹脂の領域が広く、これが著しい帯電効果につながります。Focal Charge Compensationを使用すればこのような影響がなくなるため、3方向すべてにおいて最高レベルの分解能でイメージングすることができます。
ライフサイエンス試料をSEMでイメージングする際に帯電効果は画質を大幅に低下させるため、大きな問題を引き起こすことがあります。Focal Charge Compensationを使用せずにこのラットの軸索束を高真空でイメージングした場合、明らかに帯電効果が見られます。対照的に、Focal Charge Compensationを使用して画像を取得すると、樹脂がむき出しになっている広い範囲でも帯電の影響は見られません。これらの画像は、約300ミクロン径の軸索束を異なる倍率で示しています(ご提供:National Center for Microscopy and Imaging Research (NCMIR), University of California, San Diego, USA)。
このアニメーションは、SBFとFocal Charge Compensationを使用した、ラット脊髄の単一切片(X-Y)を実行しています。オリジナルデータセットにおいて、軸索のミエリン鞘内の単一層と、微小管や他の細胞オルガネラが明確に視認できます。
ミエリン層板
このSBF-SEM画像は、単一のミエリン層板を計数し、鞘の厚さを測定するのに十分な高分解能情報をもたらします。Focal Charge Compensationを使用して取得した画像では、樹脂がむき出しになっている広い範囲でも帯電の影響は見られません。
脳試料中のアストロサイトの特定
この脳の試料は、SBF-SEMを用いてイメージングされたものです。アストロサイト(青緑色)が容易に特定され、3Dで視覚化およびセグメンテーションされています。ご提供:P. Munro and H. Armer, UCL - Institute of Ophthalmology, London, UK