バッテリーのマルチスケールイメージング
電気自動車(EV)やスマートグリッドなどのアプリケーションによって、バッテリー技術の市場は拡大しています。こういった領域で次世代バッテリーが標準化されるには、材料に関するいくつかの重要な問題を解決する必要があります。たとえば、EVやポータブル電子機器のバッテリーを繰り返し使うことによる一部の電解質の可燃性が安全上の懸念事項となっています。
バッテリー最適化のために構造をマルチスケールで理解する
これからのバッテリー研究において焦点が当てられるのは、新たな電極設計によりエネルギー密度を高めることです。電極の微細構造は、EVの航続距離や充電能力などの性能に大きく関与します。また、バッテリーの寿命は電極の経年変化によって決まります。デンドライト形成や亀裂によるショートサーキットは、バッテリーの早期故障や事故の原因となります。バッテリーの安全性には、異物やデンドライトの重大な欠陥を見逃さない品質管理が必要です。
特定のアプリケーションへの最適化や早期故障の防止には、バッテリーをマルチスケールで観察する必要があります。観察対象となるのは、各材料の構成、結晶格子構造、微細構造などです。同時に電極やパッケージレベルで、完全性やバッテリーエンクロージャーの様子も確かめなければなりません。正確な結果を得るには、試料にダメージを与えずにin situでマルチスケール解析を行う必要があります。
バッテリー電極の非破壊イメージングが不可欠
そこで、バッテリーの構造を損なわない、マルチスケールの非破壊イメージングが求められています。バッテリーは空気の影響を受けやすく、試料調製が複雑であることから、切削、開口、解体、取り付けなどの加工を必要とする解析は困難です。
ZEISS Microscopyのソリューションは、バッテリー技術におけるそのような差し迫った研究課題の解決を解決に導きます。バッテリーの完全性や構造を損なわずにマルチスケールで観察するには、バッテリー解析用の非破壊X線顕微鏡が欠かせません。専用顕微鏡を使うことで、繊細なパーツを空気に触れさせずに高分解能イメージングを行うことができます。In situイメージングでバッテリーの経年変化、破壊モード、欠陥に関する重要な情報を手に入れ、その後相関顕微鏡解析やマルチスケールのワークフローに進むことが可能になります。
次のステップ
ZEISSの包括的な相関ポートフォリオによって、マルチスケール、2D/3D/4Dでの非破壊イメージングが実現します。
ハウツー動画
NCMカソードを含むリチウムイオン電池の断面
セラミックコートされたセパレーターと黒鉛・シリコンのアノードを1 kVでイメージング
Inlens EsBシグナル(右)では、Inlens SEシグナル(左)よりも黒鉛とシリコンのコントラストが強くなり、ポリマーセパレーターの両表面にセラミックコーティングがみられる。