薄膜
イマージョンレンズ不要、ビームダメージや帯電を伴わない1 kV以下での、繊細な材料のサブナノスケールイメージング
量子レベルを目指すナノマテリアルである薄膜には、他ではみられない特性があります。ALDやALEなどの原子レベルの加工技術では、原子層を一層ずつデポジション(または除去)することによって、デバイス加工時に厳密な大きさ調整が可能です。薄膜の性能の最適化には、表面や化学性状の理解が欠かせません。
ナノマテリアル研究の発展 - 原子層を一層ずつ
薄膜研究の重要課題の1つは、試料にダメージを与えずに表面の高分解能イメージングを行うことです。また薄膜は放出X線量が少ないことから、EDSを使って正確で高分解能の化学データを得ることが困難となっています。
高分解能の低電圧イメージング
こういった課題を解決することで、高分解能の低電圧イメージングを実現するSEMの開発は発展してきました。今では、薄膜の解析には1 kV以下の高性能SEMイメージングが標準的な手法となっています。優れた検出システム(高い検出立体角と取り出し角)を備えた高分解能のEDSマッピングとの組み合わせによって、表面の化学データを正確に捉えることもできます。この手法により、試料を正確に表現したEDSスペクトル(マップ)が得られます。
ZEISSの走査型電子顕微鏡とレーザー顕微鏡が研究を推進
ZEISSは、高分解能・低電圧イメージングの継続的な開発により、研究推進をサポートします。ZEISS GeminiSEMをそのカラム専用のEDS検出器と組み合わせることで、ビームの影響を受けやすい薄膜を、これまでにない高分解能で解析することが可能になります。さらに共焦点レーザー走査法によって、高速で非破壊の3Dトポグラフィー解析を光学的に実施できます。
堅固で正確なデータ
創薬を成功へと導く
ZEISSのハイコンテントイメージングのソリューションは、長期に渡り多方面からデータ生成を促進し続けてきました。
- まず、業界最先端のイメージング技術を採用したZEISS Celldiscoverer 7により、質の高いデータ生成と試料に光毒性のないイメージングが実現しました。
- また、ZEISSが提供する質の高いトレーニングやサポート資源により、初心者ユーザーであっても技術を最大限に活用し、成功への近道を歩むことが可能となりました。
- さらに、あらゆる画像取得パラメーターに対応するZENと強力な画像解析パイプラインのarivis Vision4Dはいずれも完全自動ワークフローが可能で、ユーザーや実験持続時間に関わらずデータ出力に一貫性と再現性を持たせることができます。
- 解析とデータ管理用の拡張可能なプラットフォームarivis VisionHubには、透明性のあるユーザー管理・監査証跡機能が搭載され、データセットの大きさや複雑さに関わらず確実な追跡調査が可能です。
アプリケーション
薄膜上の微量元素
薄膜上の微量元素
ガラス基板上のペロブスカイト太陽電池の深さ方向のSIMS測定。関心領域をガリウムビームで500回スキャン。二次電子の質量電荷比を分光器で解析。全層で著明なNaシグナルを観察。SIMSで測定される微量元素の分布や拡散は、薄膜太陽電池の性能に影響すると言われています(左:SEM画像、スケールバー2 μm。右:SIMSマップ)。ZEISS Crossbeam 350 FIB-SEMとTOF-SIMS検出器。試料ご提供:Arafat Mahmud, RSEEME, Australian National University
カーボンフィルム上のZnOナノ粒子
STEMチルトシリーズ、明視野(aSTEM検出器で同時に取得できる4つのシグナルの1つ)、STEMトモグラフィー解析用の特別ホルダーを使用。ZEISS GeminiSEM。