AI顕微鏡ソリューション

画像取得・解析・サービスを強化

AIを顕微鏡にシームレスに統合し、これまでにない研究の可能性を切り開きましょう。

AIによる細胞の表現型分類
AIによる細胞の表現型分類
U2OS + LLC2細胞培養における細胞の表現型分類。手動で割り当てられた細胞(左)。ZEISS Intellesis Classificationにより、データセット全体が予測された(右)。

AIを活用した顕微鏡ソリューションの未来

人工知能(AI)は様々な分野で大きな変化を生み出しており、顕微鏡も例外ではありません。人工知能を活用したZEISS AI顕微鏡ソリューションは、画像の取得、顕微鏡データの解析や解釈、顕微鏡の性能管理に革命をもたらします。

リチウムイオン電池の陰極 - AIで解析
リチウムイオン電池の陰極 - AIで解析
左:リチウムイオン電池の正極。反射電子検出器搭載SEMを用いて10 kVでイメージング。右:ZEN Intellesis AIモジュールを使用し、赤(アルミニウム集電体)、黄(ニッケルコバルト-マンガン-NCM-貯蔵粒子)、緑(粒子間の自由空間)で画像をセグメンテーション。 画像ご提供:University of Aalen, Germany

AIを顕微鏡に統合

研究の精度、スピード、スケーラビリティの向上を目的として設計されたZEISSのAI顕微鏡ソリューションは、顕微鏡観察の世界に対するこれまでにない洞察を提供します。ライフサイエンス、材料科学、地球科学、エレクトロニクス、教育、ルーチンワークのどの分野においても、ZEISSのAI顕微鏡ソリューションは顕微鏡観察を未来の体験へと一変させます。

AIがワークフロー全体に与える大きな影響

AIは、試料検出、画像取得、前処理、画像解析を含む顕微鏡検査の以下の分野に大きな影響を与えています。

よくある質問

  • 顕微鏡におけるAIベースの画像解析とは、機械学習や深層学習などの人工知能を活用し、顕微鏡画像の解析を強化することです。これは、パターンや構造を認識するアルゴリズムを学習させることで、試料の検出、画像のセグメンテーション、ノイズ除去、 オブジェクトの分類、3D再構築などのタスクの精度や効率を向上させます。このテクノロジーにより、顕微鏡技術における画像解析が高速化・自動化され、より効果的な科学研究や診断が可能になります。

  • 顕微鏡技術における深層学習では、専門家が注釈を付けたデータセットからパターンや構造を学習することで、顕微鏡画像を独自に解析する人工ニューラルネットワークのトレーニングを行います。このトレーニングにより、ネットワークは画像のセグメンテーション、試料の検出・分類などのタスクを、より高い精度と効率で実行できるようになります。機械学習と深層学習の違いをより深く理解するには、当社のAI eBookを参照してください。

  • 顕微鏡技術にAIを統合することにより、科学的発見の基礎となる多次元画像データの取得と解析が、再現性の高いハイスループットな方法で可能になります。これらのテクノロジーにより、ルーチン化された手作業が自動化され、研究者が貴重な時間を確保できるようになるため、さらに多くの実験を計画し、より速いペースで革新的な研究を進めることができます。

  • a.蛍光顕微鏡で細胞内を観察して新たながん治療法を探したり、SEMで微細構造を解析して電池材料を設計したり、X線顕微鏡で鉱物学を研究して炭化水素の収率を最適化したりと、AIは小規模なデータセットから大規模なデータセットまで、より高いスループットでの洞察を提供します。この多用途性は、顕微鏡観察の多様な領域において科学的発見を加速させるAIの変革的な影響を強調するものです。

  • 従来の画像解析では、単純な閾値法など、事前に定義されたルールに依存して画像から情報を抽出していました(例:固定の閾値を使用して、ピクセル輝度に基づいて画像をセグメント化する)。しかし、このようなルールベースのアプローチでは、画像が理想的な条件から外れた場合に信頼性が低下し、再現性が低い結果となる可能性があります。これとは対照的に、AIベースの解析では、AIシステムが多様なデータセットから隠れたパターンを学習するため、特定のルールを超えた解析が実現します。これにより、撮影条件が変わった場合でも、一貫して堅牢性を維持することが可能になり、顕微鏡技術においてより信頼性・適応性の高い結果を得ることができます。

  • AIは日常的な課題に徐々に対応しつつあり、この傾向は顕微鏡技術にも拡大しています。これにより、ワークフローのあらゆる場面でメリットを得ることができます。生成AIが進化を続け、優秀なアシスタントとして機能するようになれば、顕微鏡システムとの自然言語主導のインタラクションが増えることが予想されます。例えば、ユーザーが多数の試料を載せたマルチウェルプレートをロードし、「これらの試料を10倍でイメージングし、すべてのウェルから得られた洞察をまとめてください」と簡単にAIに指示できたらどうでしょうか?これが実現すれば、試料からシームレスに洞察を得られるようになるとともに、手動のセットアップ、データ転送、事前処理、セグメンテーション、分類の必要性がなくなります。AIを活用した顕微鏡技術の未来では、何万回もの反復を伴う大規模な実験においても、生産性の向上が可能になります。

  • Pythonのコーディングに習熟している方なら、顕微鏡技術にAIベースのソリューションを実装する際に、オープンソースのライブラリを活用することができます。しかし、これには大規模なデータセットを扱うための専門知識と、画像パッチの管理と元のサイズへの再構築に関する深い理解が必要です。幸いなことにZEISSでは、誰もがアクセスできる、使いやすい、コーディング不要のインターフェースを通じて、様々なAIツールを取り揃えています。ZENとarivisのソフトウェアエコシステムの両方において、ユーザーはAIを使用したノイズ除去、セグメンテーション、分類などのツールを活用することができます。例えば、arivis Cloudプラットフォームは、画像セグメンテーションのカスタムAIモデルをトレーニングするためのインフラを提供します。これは、クラウド上でも、arivis ProまたはZENソフトウェアパッケージのローカル環境でも使用でき、プラットフォーム間で一貫した結果を得ることができます。

  • ZEN、ZEN Blue、arivis Pro、arivis Hub、arivis CloudのどのZEISSソフトウェアにも、画像解析のためのAIツールが組み込まれています。これにより、ユーザーは高度な機能のメリットを享受することができ、各ソフトウェアパッケージは生産性を向上させる強力なツールとなります。

  • 深層学習(DL)は機械学習(ML)の一つですが、機械学習というと一般的には、事前に定義されたデジタルフィルターが学習データに適用される従来のMLを指すことが多いです。この従来型のアプローチには、こうしたフィルターを組み立て、多くの場合、数十個までの限られた数の特徴を使って作業する「特徴量エンジニアリング」が用いられています。この制限により、これらのアルゴリズムでは、画像に存在する複雑さを捉えることが難しくなります。それに対して、深層学習は膨大なトレーニングデータから学習することで、数百万ものパラメータを最適化するため、画像状況の変化に対してより堅牢な特徴学習技術だと言えます。要するに、主な違いは、MLではエンジニアリングにより少数の特徴量しか得られないのに対し、DLでは学習により多数の特徴量を得られるということです。