ZEISS Crossbeam
3D分析と試料作製をハイスループットで実現するFIB-SEM
イメージングと分析性能を兼ね備えた高分解能電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)に、次世代集束イオンビーム(FIB)の処理能力を統合しました。研究所などの複数のユーザーが利用する研究施設に最適です。ZEISS Crossbeamのモジュラープラットフォームなら、大量の材料アブレーションにLaserFIBを使用するなど、増大するニーズに合わせて既存システムをアップグレードできます。ミリング、イメージングや3D解析において、CrossbeamがFIB使用時の作業をスピードアップさせます。
TEMラメラ作製
NanoSQUIDSの結晶構造の観察
SEMで最大限の情報を獲得
- Gemini電子光学系を使った高分解能SEM画像から試料の正確な情報を抽出
- 2Dの表面敏感な画像や3DトモグラフィーでCrossbeamの優れたSEM性能を活用
- 低加速電圧においても高い分解能、コントラスト、S/N比を実現
- 様々な検出器を用いて試料の包括的な特性評価が可能。独自のInlens EsB検出器により純粋な材料コントラストが得られる
- 帯電アーチファクトに邪魔されることなく非導電性の試料を観察可能
FIBを使った試料作製のスループット向上
- インテリジェントなFIBスキャンで材料をより早く正確に除去し、加工時間を最大で40%短縮
- Ion-sculptor FIBカラムが新たなFIB加工の方法を実現。試料へのダメージを最小限に抑え、試料の質を最大限高めると同時に加工を高速化
- FIB分解能を損なうことなく、最大100 nAの電流を用いて試料を正確かつ迅速に操作可能
- TEMラメラ作製には、Ion-sculptor FIBの低加速電圧機能を使用。アモルファス化による試料のダメージを最小限に抑えつつ、極薄膜試料を実現
FIB-SEM分析で最高の3D分解能を実現
- 統合された3D EDS と3D EBSD測定のメリットを最大化
- ミリング、イメージングや3D解析において、CrossbeamはFIBを使った作業を効率化
- 業界をリードする高速かつ正確なトモグラフィーを提供するZEISS Atlas 5パッケージで、Crossbeamの性能を拡張
- Atlas 5の統合3D解析モジュールにより、トモグラフィー中にEDSやEBSD分析が可能
- 業界屈指の等方性ボクセルサイズと最高レベルの3D分解能を有するFIB-SEMトモグラフィーで優れた結果を取得。Inlens EsB検出器は、深さ3 nm未満の情報で、表面感度と材料コントラストの高い画像を取得可能
- ミリングしながら断面画像を収集し、トモグラフィーの所要時間を削減。撮像後にトラッキング可能な実ボクセルサイズの記録と、画質調整のための自動ルーチン群
Crossbeamファミリー
Crossbeamによるワークフロー
レーザー、TEMラメラ作製、相関クライオのワークフローを調整するためのガイド付きワークフローを活用ください
Crossbeamレーザーのワークフロー
深部にあるROIに素早くアクセスし、マルチスケールで相関ワークフローを実行。大体積の分析で、深く埋もれたROIをより正確に取得します。EDSやEBSDなどの3Dイメージングや分析も可能です。半自動化装置により、時間の節約とスループットのさらなる向上が実現しました。
お手持ちの Crossbeamにフェムト秒レーザーを追加すれば、特定部位から超高速で試料を作製できます。FIB-SEMのチャンバーは清潔に保たれ、必要に応じて半自動化ワークフローで遠隔操作が可能です。
メリット:
- 深部にある内部構造に素早くアクセス
- 制御された真空環境でフェムト秒レーザーパルスを使用するため、ダメージと熱影響を最小限に抑える
- レーザー作業を専用チャンバー内で行うことで、FIB-SEMのメインチャンバーと検出器を汚染から保護
- レーザーによる粗加工、精密加工、仕上げ加工および集束イオンビームSEM用チャンバーへの試料の移動を自動化
- TEMラメラ上の断面からピラー配列まで、複数の試料を作製し、様々な材料にプリインストールされたレシピを使用して効率的に作業
TEMラメラ作製用ワークフロー
TEMラメラの作製は、ほとんどのFIB-SEMユーザーにとって欠かせない作業です。ZEISSは、特定位置で作製するための自動ワークフローを提供し、これによって得られるラメラは、高分解能TEMおよびSTEMイメージング、原子分解能での分析に最適です。試料のROIに移動し、バルク試料から関心領域を含むTEMラメラを抽出してから、バルクミリングやトレンチングを行って、ピックアップと必要に応じて薄片化を行います。
クライオ条件下でのTEMラメラ作製および3D分析
クライオ顕微鏡では、生理的環境下に近い状態での細胞構造の観察が可能です。しかし、ユーザーは、試料作製、失透、アイスコンタミネーション、試料ロス、または複数のイメージング手法の相関といった複雑な課題に直面することになります。ZEISS相関クライオ顕微鏡ワークフローは、ワイドフィールド顕微鏡、レーザー走査顕微鏡、集束イオンビーム搭載走査電子顕微鏡をシームレスに組み合わせたソリューションです。ハードウェアもソフトウェアも、蛍光高分子の位置確認から高コントラストのクライオ電子線トモグラフィーイメージングおよびTEMグリッド状でのラメラ薄片化まで、相関クライオ顕微鏡ワークフローのニーズに合わせて最適化されています。
Crossbeamのテクノロジーインサイト
2つの走査電子顕微鏡用カラム、Gemini 1および2、集束イオンビーム用カラム、イオンスカルプターの詳細をすべて解説します。
表面高感度イメージング、強力な分析機能およびFIB加工の新たな手法についてご覧ください。
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SEM電子光学系
2基のカラムから選択
ZEISS CrossbeamのFE-SEMカラムは、すべてのFE-SEMと同様にGemini 1 VP電子光学系に基づいています。Crossbeam 350のGemini VPカラムにするかCrossbeam 550のGemini 2カラムにするかを決めることができます。
電界放出型SEMは、高分解能イメージング用に設計されています。電界放出型SEMの性能の鍵となるのは、その電子光学系カラムです。Gemini技術は、すべてのZEISSのFE-SEMおよびFIB-SEMに搭載されています。いかなる試料でも優れた分解能を発揮するようになっており、特に、低加速電圧で完全かつ効率的に検出するために、そして使いやすいように調節されています。
Gemini光学系を特徴付ける3つの主要素
- Gemini対物レンズの設計は、静電場と磁場を組み合わせることで、試料に与える磁場の影響を最小限に抑えながら、光学性能を最大限に高めます。これにより、磁性材料のように困難な試料であっても優れたイメージングが可能となります。
- また、一体型ビーム減速機能を有するGeminiビームブースターテクノロジーが、小さなプローブサイズと高いS/N比を保証します。
- GeminiのInlens検出コンセプトは、二次電子(SE)と反射電子(BSE)を同時に検出することで、画像取得の時間を最小限にし、効率的かつ確実にシグナルを検出します。
FIB-SEMアプリケーションにおけるメリット
- 長時間安定するSEMのビームアライメントや、プローブ電流や加速電圧等あらゆるシステムパラメータを簡単に調整可能
- ほとんど磁場影響のない光学系のおかげで、広視野でもひずみのない高分解能イメージングを実現
- 電子光学性能に影響を及ぼすことなく、検体を傾けることが可能
Gemini 1 VP搭載Crossbeam 350
- ✔ オプションの低真空モードにより、多目的環境における試料の柔軟性を最大化
- ✔ ガスを放出する試料や帯電しやすい試料のin situ実験が可能
- ✔ Inlens EsB検出器を用いた独自のGemini材料コントラスト
Gemini 2搭載Crossbeam 550
- ✔ ダブルコンデンサーシステムにより低加速電圧や大電流でも高分解能を実現
- ✔ 高分解能イメージングと高速分析で、少ない時間でより多くの情報を取得
- ✔ Inlens SEとEsBイメージングを同時に用いて独自のトポグラフィーと材料コントラストを取得
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高感度な表面イメージングの活用
今日のSEMアプリケーションでは、標準として低加速電圧での高分解能イメージングが必要とされており、以下の用途で不可欠となっています。
- ビーム感受性の高い試料
- 非導電性材料
- 試料の深い位置からの不要なバックグラウンド信号を避け、純粋な試料表面の情報を取得する
新しいGemini光学系は、低加速電圧および超低加速電圧での分解能とコントラスト向上のために最適化されており、搭載された高分解能ガンモードとオプションのTandem decelが特徴です。
- 高分解能ガンモードでは、一次エネルギー幅が30%減少し、色収差を最小限に抑えることで画像の分解能を向上させます。
Tandem decelの仕組み
2段階の減速モードであるTandem decelは、ビームブースターテクノロジーと試料に印加される高い負のバイアス電圧を組み合わせています。一次電子ビームの電子が減速し、それによりランディングエネルギーが効果的に減速します。Crossbeam 350/550に搭載されたTandem decelは、2つの異なるモードで使用できます。50~100 Vの可変負バイアス電圧では、画像のコントラストが向上し、また1~5 kVという低い負のバイアス電圧でも画像の分解能を向上させることができます。
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新しいFIB加工法
Ion-sculptor FIBカラムは、機械加工の精度を損なうことなくFIB作業をスピードアップさせ、いかなる試料でもその低加速電圧性能を活用できます。
Crossbeamファミリーには、ハイスループットのための大電流と試料の高品質確保のための優れた低加速電圧の機能を備えたIon-sculptor次世代集束イオンビームカラムが搭載されています。
- Ion-sculptor FIBカラムの低加速電圧機能を使用して、試料の品質を最大限向上
- 試料のアモルファス化を最小限に抑え、薄片化後に優れた結果を取得
- 正確で再現性のある結果を、最も安定した形で取得
- 高速のプローブ電流交換でFIB使用時の作業を高速化
- 最大100 nAのビーム電流によるハイスループット加工
- 3 nm未満の優れたFIB分解能を実現
- Crossbeamファミリーは、長時間実験用の自動FIBエミッション回復機能を搭載
材料科学におけるアプリケーション
新しい材料を開発し、その物理的・化学的特性を理解し制御しましょう。ナノサイエンス、エンジニアリング、エネルギー材料などのアプリケーション例を紹介します。Crossbeamがどのように試料の作製、イメージング、解析を2Dおよび3Dでサポートできるかをご覧ください。
キャプション:ナノパターニングなどのためのフレネルゾーンプレート。
電子機器および半導体分野におけるアプリケーション
電子機器と半導体領域製造分野におけるCrossbeamのアプリケーションをご覧ください。
ライフサイエンス研究におけるアプリケーション
ライフサイエンス研究の様々な領域におけるCrossbeamのアプリケーションをご覧ください。
アクセサリ
可視化・解析ソフトウェア:ZEISSが推奨するDragonfly Pro
ORS Dragonfly Proは、X線、FIB-SEM、SEMなどの様々な技術を用いて取得した3Dデータに対し、高度な解析およびビジュアライゼーションが行えるソフトウェアソリューションです。ORS Dragonfly Proは、大型3Dグレースケールデータの可視化・解析に対応する、直感的で完全かつカスタム可能なツールキットで、ZEISSが独占的に提供しています。Dragonfly Proでは、3Dデータのナビゲーション、アノテーション、ビデオ制作を含むメディアファイルを作成できます。画像処理、セグメンテーション、オブジェクト解析を行い、結果を定量化します。
ToF-SIMS導入によりハイスループットな3D分析を実現
ToF-SIMS(飛行時間型2次イオン質量分析)をCrossbeam 350またはCrossbeam 550に追加することで、微量元素、軽元素(例:リチウム)および同位元素の分析が可能です。高感度で包括的な3D分析をご活用ください。元素マッピングおよび深さプロファイリングを実行できます。ppmレベルの原子および分子イオンの同時検出が可能で、横方向で35 nm、深さ方向で20 nmを上回る優れた分解能を実現します。事後に関心領域から信号を取得します。