ZEISS GeminiSEM
サブナノメートルイメージング、解析、多様な試料などの厳しい要件に応えるFE-SEM
ZEISS GeminiSEMは、サブナノメートルの分解能での手間のかからないイメージングを実現します。これらのFE-SEM(電界放出型走査電子顕微鏡)は、卓越したイメージングと解析能力を兼ね備えています。電子光学系のイノベーションと新しいチャンバー設計により、画質、操作性、柔軟性が向上しました。イマージョンレンズを使用せずに1 kV以下でサブナノメートル画像を取得できます。ZEISS Gemini電子光学系の3種類のユニークな設計をご覧ください。
GeminiSEM 360
高感度表面イメージングにより、低加速電圧または高プローブ電流で情報を収集することができます。Inlens検出、NanoVP、コンテキストに基づいた画像ビューイングまたはAIによるセグメンテーションのメリットをご体感ください。
キャプション:Inlens EsBによるセリウム鉄粒子画像
GeminiSEM 460
低電流・低電圧の作業から、高電流・高電圧の作業にシームレスに切り替えることができます。また、加熱・引張実験用のin situソリューションを追加することも可能です。同一平面上のEDS/EBSD設定を活用することで、EDSデータの影のないマッピングや1秒あたり4,000パターンものEBSDマップの迅速な収集もできます。
キャプション:鋼のEBSDマップ
GeminiSEM 560
試料バイアスやモノクロメーションを必要としない、1 kV以下かつ1 nm以下の分解能での磁場フリーイメージング、新たな電子光学エンジンSmart Autopilotを搭載したGemini 3、作業条件のスイートスポットを見つける、など、表面イメージングの新たな基準となる様々な機能をご活用ください。
キャプション:磁性FeMnナノ粒子、辺長が約25 nmの立方体。GeminiSEM 560、1 kV、Inlens SE、視野:565 nm。
Mario Hentschel博士へのインタビュー
Mario Hentschel博士
University Stuttgart(4th Physics Institute and Center for Applied Quantum Technology, Germany)による光学センサー研究
「私たちは光センシングのためのマイクロ・ナノ構造を取り扱っています。そのため、ナノメートルスケールでデバイスの特性評価ができるかが重要となります。これらのアプリケーションには、柔軟性の高い電子顕微鏡が必要です。ZEISS GeminiSEM 560は、驚くほどの自由と柔軟性をもたらしてくれます。絶縁性の高い高分子などの非常に難しい試料でも、最高レベルの画質を得ることができ、電荷による影響も最低限に抑えられます。このように、GeminiSEM 560が私たちの研究を可能にするテクノロジーであることは間違いなく、非常に柔軟な方法でそれを実現してくれると感じています。」
Gemini電子光学系のバックグラウンドテクノロジー
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基本情報
電界放出型SEMは、高分解能イメージング用に設計されています。電界放出型SEMの性能の鍵となるのは、その電子光学系カラムです。Geminiは、いかなる試料でも優れた分解能を発揮できるようになっており、特に、低加速電圧で完全かつ効率的に検出するために、そして使いやすいように調整されています。
Gemini光学系を特徴付ける3つの主要素
- ● Gemini対物レンズの設計は、静電レンズおよび磁界レンズを組み合わせることで、最高の光学的性能を引き出すとともに、電場や磁場が試料に及ぼす影響を最小限に抑えます。これにより、磁性材料のように困難な試料であっても優れたイメージングが可能となります。
- ● また、一体型ビーム減速機能を有するGeminiビームブースター技術が、小さなプローブサイズと高いSN比を可能にします。
- ● GeminiのInlens検出コンセプトは、二次電子(SE)と反射電子(BSE)を同時に検出することで、画像取得の時間を最小限に短縮し、効率的かつ確実にシグナルを検出します。
各種アプリケーションにおけるメリット
- ✔ 長時間安定性が高いSEMのビームアライメントや、プローブ電流や加速電圧等あらゆるシステムパラメータを簡単に調整可能
- ✔ ほとんど磁場影響のない光学系のおかげで、ひずみのない高分解能イメージングを実現
- ✔ Inlens SE検出器が、表面感度の高いSE 1電子から画像を生成し、試料の最表層のみから情報を取得
- ✔ Inlens EsB検出器の検出コンセプトを用いて、極低加速電圧で真の材料コントラストを取得
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高速解析の活用
試料の包括的特性評価には、イメージングと解析の性能が必要です。これに加えて、今日のユーザーは設定や取り扱いが簡単な装置を求めています。これらのニーズに応えるのがGemini 2光学系です。
高分解能イメージングから解析へとシームレスに切り替え可能
- ● GeminiSEM 460には、ダブルコンデンサーを特長とするGemini 2光学系が搭載されています。
- ● ビーム電流を継続的に調整し、同時に最適なスポットサイズを維持できます。
- ● ビーム電流が低い高分解能イメージングからビーム電流が高い解析モードにシームレスに切り替え可能です。
- ● イメージングパラメーターを変更した後にビームを再調整する必要がないため、時間を節約できます。
柔軟性を維持しつつ効率的に作業
- ✔ 柔軟性を維持:低電流でも高電流でも、どのビームエネルギーを選択しても、最も高いビーム電流密度で高分解能のイメージングと分析が可能です。
- ✔ 試料を磁場に暴露させない:Gemini光学系は試料を磁場に曝さないため、広視野でひずみのないEBSDパターンと高分解能での明瞭なイメージングを実現します。
- ✔ 電子光学性能に影響を与えることなく、試料を傾けることができます。磁性試料のイメージングも簡単です。
- ✔ 試料に最適な電荷低減モードを選択可能:局所的電荷補償、チャンバー内低真空、NanoVP
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1 kV以下でのイメージング - 専門知識を統合
Gemini 3の光学系は、低加速電圧および極低加速電圧での解像度とコントラスト強化のために最適化されています。ナノツインレンズと新しい電子光学エンジンであるSmart Autopilotの2つのコンポーネントで構成されており、1 kV~30 kVまでのあらゆる作業条件下で最高の分解能を確保することができます。その他の技術特性としては、高分解能ガンモードおよびオプションのTandem Decelがあります。
分解能モード – 細部を映すイメージング
2つのモードにより、SEM画像の細部や検出信号をより多く取得できます。高分解能ガンモードでは、一次ビームのエネルギーの広がりを小さくすることで色収差の影響を最小限に抑え、より小さなプローブサイズを可能にします。Tandem Decelモードでは、試料側に減速電圧をかけます。このモードを使用することで、1 kV以下での分解能がさらに改善され、かつ反射電子検出器の検出効率が向上します。
ナノツインレンズの機能:
- ● 低・超低加速電圧でも、サブナノメートルの分解能と優れた信号検出効率を実現します。
- ● 標準的なGemini対物レンズと比較して、低加速電圧でのレンズ収差を3倍低減します。その結果、試料上の磁場はmTのオーダーで3倍小さくなります。
- ● ジオメトリーと静電場、磁場の分布が最適化されます。
- ● Inlens検出器の信号が低加速電圧イメージング条件下で強化されます。
- ● これらの特性によって、試料を電磁場の中に置くことなく1 kV以下のサブナノメートルイメージングが可能になります。
仕組み
- ● Smart Autopilotは、カラムを通過する電子の軌跡を最適化し、各加速電圧で実現可能な最高の分解能を確保します。
- ● この自動機能により、1倍~200万倍までの全倍率でアライメントフリーを実現し、10倍の視野で、13cmのオブジェクトを1フレームでイメージングすることができます。
- ● 32,000 x 24,000の解像度を新しいオーバービューモードと組み合わせると、スティッチングなしで優れた画素密度の視野が得られます。
Geminiテクノロジーのハウツー動画
材料科学におけるアプリケーション
代表的なタスクとアプリケーション
- 現実世界の試料を広視野かつサブナノメートルの分解能で簡単にイメージング/解析
- ナノサイエンス、エンジニアリングおよびエネルギー材料、もしくはバイオインスパイアード材料、高分子および触媒の研究
- GeminiSEMが試料の包括的な特性評価をサポート
キャプション:積み重ねられたゴールドプレートレット、プラズモン作用の研究、GeminiSEM 560、BSD。画像ご提供:University Stuttgart, Germany
産業向け顕微鏡ソリューション
代表的なタスクとアプリケーション
- 機械的、光学的、電子的コンポーネントの不良解析
- 破損解析と金属組織解析
- 表面、微細構造、デバイスの特性評価
- 組成および位相分布
- 不純物と介在物の判別
キャプション:リチウムイオン電池の断面。
電子機器および半導体分野におけるアプリケーション
代表的なタスクとアプリケーション
- 構造解析とベンチマーク
- 電位コントラスト
- 表面下構造解析
- プロービングによる電子特性解析
- TEM観察位置の選定
キャプション:高加速電圧(ここでは30 kV)でのaBSD検出器は、FinFETゲート、タングステンプラグ、錫ライナー(挿入)などの深く埋め込まれた構造を、並外れた分解能とコントラスト比で示します。
ライフサイエンス研究におけるアプリケーション
代表的なタスクとアプリケーション
- トポロジーの特性評価
- 高感受性、非導電性、ガス放出、または低コントラストの試料のイメージング
- 細胞や組織などの微細構造を高分解能で視覚化
- 連続切片やブロックフェイスなどの非常に広い領域のイメージング
キャプション:SARS-CoV-2ウイルス、培養、不活化、陰性染色、GeminiSEM 560、aSTEM、HAADF/BF。試料ご提供:M. Hannah, Public Health England, United Kingdom
アクセサリ
3D STEMトモグラフィー
電界放出型SEMで自動STEMトモグラフィーを測定できます。また、APIを使用したSTEMトモグラフィー自動取得用のプログラムは、オートフォーカスと画像取得だけでなく、回転および傾斜ステージの動きを計算します。特徴追跡はSTEMトモグラフィー全体のイメージシフトを補正し2つの画像間のドリフトを最小で約50 nmに保ちます。STEM試料ホルダーはステージを60°傾斜および180°回転させることができ、aSTEM検出器はすべての要件に対応します。Advanced Reconstruction Toolkit(ART)開発チームによる3D再構成ソフトウェアは、この出力をもとに試料の3Dモデルをレンダリングします。
シリアルブロックフェイスSEM用のチャンバー式ウルトラミクロトーム
樹脂包埋された生体試料の微細構造を、広域にわたって3Dでイメージングしましょう。ZEISS Volutomeは、画像処理、セグメンテーション、ビジュアライゼーションに必要なハードウェアとソフトウェアを提供するエンドツーエンドソリューションです。
ZEISS FE-SEMのIn Situラボで材料性能を微細構造に関連付ける
統合ソリューションを活用
ZEISS FE-SEMに、加熱・引張実験用のin situソリューションを追加できます。金属、合金、ポリマー、プラスチック、複合材料、セラミックスなどの材料を観察可能です。さらに、機械的引張または圧縮ステージ、加熱ユニット、専用高温検出器を解析と組み合わせることができます。無人自動材料試験を可能にする統一されたソフトウェア環境により、1台のパソコンからすべてのシステムを制御できます。
ビジュアライゼーションおよび解析ソフトウェア
ZEISSが推奨するDragonfly Pro
ORS Dragonfly Proは、X線、FIB-SEM、SEMおよびヘリウムイオン顕微鏡などの様々な技術を用いて取得した3Dデータに対し、高度な解析およびビジュアライゼーションを行えるソフトウェアソリューションです。ORS Dragonfly Proは、大型3Dグレースケールデータの可視化・解析に対応する、直感的で完全かつカスタム可能なツールキットで、ZEISSが独占的に提供しています。Dragonfly Proでは、3Dデータのナビゲーション、注釈機能、ビデオ制作などのメディアファイル作成が可能です。画像処理、セグメンテーション、オブジェクト解析を行い、結果を定量化します。