ZEN顕微鏡ソフトウェア
試料観察からデータ取得まで完全に網羅するソリューション
ZENは、ZEISSの全イメージングシステムに搭載されているユニバーサルユーザーインターフェースです。ZENを使用すれば、シンプルなルーチン作業で素早く簡単に結果を得ることができます。複雑な研究実験も、ZENの柔軟性を活用して多次元的なワークフローを思い通りに設計することができます。どんな顕微鏡タスクでも、直感的に操作できるツールやモジュールがあなたをサポートします。
スマートな画像取得
極めて複雑な実験も成功へと導く
ZEISS ZENでは、すべてのデバイスを、ひとつの便利なインターフェースで操作できます。インテリジェントコントロールセンターであるSmart Setupが、顕微鏡の種類を問わず設定を自動で行います。再現性の高い実験をお求めの場合もお任せください。過去に取得した生画像があれば、クリックするだけで撮影条件を正確に再現できます。その他にも、希少事象の検出をガイドしてくれるものや、ハードウェアのキャリブレーションをサポートしてくれるものなど、数多くの優れた自動化機能が搭載されています。
定量的処理
信頼性と再現性のある結果を取得する
180種類以上の画像処理ツールがデータの変換や管理をサポートし、使用する手法(カイモグラフやデコンボリューションなど)のキーワードを検索するだけで、ZENがその手法へと直接誘導します。ZENは入力画像のメタデータを読み込み、論理的な処理ステップのみを表示し、デフォルトのパラメータを自動的に最適化します。サードパーティ用のインポートツールを用いて、他のプラットフォームで得た画像を処理することも可能です。専用のワークスペースを使用すれば、複数の画像を一括処理できるため、簡単にバイアスのない定量的結果を得ることができます。
強力なビジュアライゼーション
ビッグデータへの確実な対応を実現
高倍率の巨大なマルチチャンネル・2Dタイルスキャンを素早く生成し、スマートフォンの地図アプリを使うように、ただマウスをスクロールするだけでスムーズに拡大・縮小できます。透明化処理されたマウス脳の、200 GBのデータもお任せください。ZENで読み込めば、多様な3Dレンダリング手法のスピードと明瞭さに驚くことでしょう。arivis ImageCore技術を搭載したZENのシステムリソースを効率的に使用することで、通常のコンシューマー向けハードウェアでも大容量の3D画像を表示できます。
簡単な解析
研究を効率的に進める
画像解析は、セグメンテーションおよびレジストレーションのデジタルツールを用いて顕微鏡画像から有意義な情報を抽出する際に不可欠です。ZENでは、シンプルなモジュール式Bio Appsがこれに対応します。各Bio Appは、例えばセルカウントや細胞密集度測定など、それぞれ1つのアプリケーションに最適化されており、カスタマイズされたセグメンテーション設定や合理化されたデータ表示が可能です。ウィザードベースのZEN Image Analysisモジュールでは、ステップバイステップで測定結果の作成をガイドします。
独自の相関顕微鏡観察
複数のスケールやモダリティにまたがる視点を組み合わせる
ZENは、マルチモーダルデータを重ね合わせ、ナビゲートし、整理します。神経細胞間のシナプスを探して、その微細構造の情報を得ることに何日も費やしていませんか?ワイドフィールド蛍光顕微鏡の大きな実視野と電界放出形電子顕微鏡の高分解能を組み合わせることで、効率が格段に向上します。ZENなら蛍光標識された切片全体像を素早く把握できるため、電子顕微鏡イメージングで関心領域を特定し再配置することが可能です。
安全なストレージ
複雑なテータの取り扱いも安心
ZENは、一つひとつの貴重な実験をそのメタデータとともに保存します。
.cziファイル形式はBio-Formatsと互換性があるため、ImageJや他の様々なサードパーティ製ソフトウェアで直接読み込むことができます。データをOME-TIFF(Open Microscopy Environment)にエクスポートすることで、複数のプラットフォームにまたがる画像データのやり取りがさらに簡素化されます。
膨大なデータを管理する場合、ZEN Data Storageで生データを保存・整理し、ユーザーアクセス権を管理することができる一方で、ZEN Data Explorerなら、ブラウザベースでどこからでもアクセスが可能です。
ZENツールキットの構造
無限の可能性へのアクセスが容易に
ZENソフトウェアは、あらゆる顕微鏡ユーザーに包括的なエンドツーエンドソリューションを提供します。自動化されたスマートな画像取得、直感的な画像解析およびクラウドベースのデータ管理など、ライフサイエンスのアプリケーションに対応するための機能が加わり、常に進化を続けています。その反面、機能が増えたことで、ZENのエコシステムが複雑化するという側面も否めません。ZENツールキットの構造では、多数の機能をより利用しやすくする簡素化されたオプションが得られます。画像取得、解析、特殊機能用のツールキットを使用して、実験のニーズに応じてZENのインストールをカスタマイズ可能です。
ZENツールキット
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Base
手動式、エンコード式、電動式の顕微鏡を用いて、マルチチャンネル蛍光実験およびタイムラプス実験で基本的な画像取得を実施。Motorized Focus
ソフトウェアオートフォーカス、拡張フォーカス処理、Direct Processingにより、マルチチャンネル蛍光、タイムラプス、zスタック実験の画像を取得。Motorized
ソフトウェアオートフォーカス、拡張フォーカス処理、Direct Processingにより、マルチチャンネル蛍光、タイムラプス、zスタック、タイリング、マルチポジション実験の画像を取得。Advanced
ソフトウェアオートフォーカス、拡張フォーカス処理、Direct Processing、コロカライゼーション解析により、マルチチャンネル蛍光、タイムラプス、zスタック、タイリング、マルチポジション、共焦点HDR実験の画像を取得。Smart
シンプルなユーザーインターフェースで不均質な画像の取得実験を設定し、画像解析またはPythonスクリプトツールを使用して適応性の高い、自動化された取得を実施。 -
2D
拡張画像処理機能により、直感的なソフトウェアウィザードに従った2D画像解析を実施。3D
拡張画像処理機能により、高度なレンダリングツールを用いて3D/4D画像スタックを視覚化し、直感的なソフトウェアウィザードに従った3D画像解析を実施。AI
トレーニングAIモデル専用ユーザーインターフェースで使用可能な深層学習アルゴリズムを用いて、画像のセグメンテーション、分類およびノイズ除去を実施。
Connect
試料中心のワークスペースと専用のファイル管理システムで、光学および電子顕微鏡などの異なる機器で画像を取得・相関。Developer
Pythonの専用スクリプトエディターで画像取得、処理および解析をカスタマイズして自動化し、記録、デバッグおよびコーディングを実施。分子定量化
FRAP、FRET、レシオイメージングを用いた分子ダイナミクスを、最も確立されたアルゴリズムを用いた専用の解析ワークスペースで取得・解析。デコンボリューション
マルチCPU/マルチGPUの効率的な処理により、15種類のデコンボリューションアルゴリズムを使用して、2Dおよび3Dデータの分解能を120 nmまで直感的に向上させることが可能。
Bio Apps
AIをベースとしたセグメンテーションとカスタマイズされた結果表示で、すぐに使えるセルカウント、細胞密集度測定、スポット検出および遺伝子/タンパク質発現評価を実施。
ZEN最新版リリースの注目ポイント
ZENの最新版リリースで追加された最新機能のメリットをどのように活用できるかご覧ください。
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Instance Segmentationのパフォーマンス向上
前バージョンで深層学習のトレーニング性能が最適化された後、今回のリリースではモデル採用の高速化が追加されました。メリット:
- Instance Segmentationの結果取得までの時間を短縮
- 画像解析ウィザード、Bio Apps、Guided Acquisitionワークフローでも、より高速な推論が可能に
大容量の2D画像、3Dデータ、時系列データの処理速度が向上最大90%
小さなオブジェクトを含むデータセットのセグメンテーションが高速化最大3倍
未処理予測のフィルタリングが高速化最大3倍
ZENへのモデル転送が高速化2~30倍
Bio Appsの新たな追加機能:トランスロケーション
Bio Appsツールキットのユーザーは、分子の核内輸送を解析できるようになりました。新しいメソッドには以下が含まれます。
- シンプルなワンステップ設定
- マルチウェルプレートのヒートマップを含む専用結果ビュー
- 高度な深層学習セグメンテーションを統合するオプション
Lattice SIM並列処理
Lattice SIM処理はDirect Processingの機能として実装されています。SIM²処理ワークフローを実行すると以下の利点が得られます。
- 結果取得までの時間短縮
- 専用解析処理ワークステーションでの並列処理による計算リソースの増加
- インテリジェントなデータ圧縮でファイル転送を高速化
AIベースのライブノイズ除去
ワイドフィールドモダリティでは、AIツールキットのユーザーは継続取得モードでNoise2Void深層学習を使用できるようになりました。これにより以下のことが可能になります。
- クラス最高のアルゴリズムによる効率的なライブノイズ除去
- サンプルに優しい照明設定下での高画質画像による試料観察
- 光毒性とフォトブリーチの軽減
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インスタンス・セグメンテーション
インスタンス・セグメンテーション機能に重要なアップデートが行われ、セグメンテーションの質が向上し、結果取得までの時間が短縮されました:
- モデルトレーニング時間の大幅な削減
- ZEN画像解析機能でのマルチチャンネルインスタンス・セグメンテーションモデル
- 高密度の物体を可視化するランダムオブジェクト彩色
- インターネットアクセスが制限されているシステムのためのリモートモデルダウンロード
ロスレス圧縮
Zstdによる高速ロスレス圧縮が、ZENによる画像取得で標準採用になりました。
- 2倍~20倍の圧縮率により、高速ファイル転送とデータ保存コストの削減を実現します。
- 既存のデータアーカイブを簡単にまとめて圧縮する際には、無料のスタンドアローンツールCZI Shrinkをご利用ください。
Direct Processing
今回のリリースでは、Direct Processingに以下の改善が加えられました:
- AIノイズ除去およびリニアアンミキシング(LSM Spectral Imaging用)をリモート解析専用ワークステーションで実行することで、取得システムの計算負荷を軽減します。
- Direct Processingは、LSMシステム付きCelldiscoverer 7のMixedモードでの画像撮影に対応しました。
Connect Toolkit
ZEN Connectツールキットに追加された最新の機能により、相関イメージングのメリットが増えました:
- 今回のリリースでは、Dynamics ProfilerがConnectワークスペースに統合されます。
- マルチボリュームの3Dデータから、論文用のスクリーンショットを作成できます。
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ZENプロファイルの自動選択
ZENの起動を簡素化
適切なプロファイルを利用したZENの起動が、さらに簡素化されました。ZENはこれまで、有効な(部分的に複雑な)ライセンスに基づいて構成されていましたが、現在では利用可能なMTB ZENプロファイルに直接アクセスして選択できるようになりました。大規模データの処理
大容量データの処理をより迅速に
データセットのボリュームが増加の一途をたどる中、大規模データの取り扱いは依然として、顕微鏡ユーザーにとっての最重要テーマとなっています。ZSTD可逆圧縮を画像取得のデフォルトに設定できるようになったことで、ファイル転送速度が向上し、データ保存が最適化されました。さらに、最大輝度投影、タイルスティッチング、画像ピラミッド生成のアルゴリズムも大幅に高速化されています。
Direct Processingでのスティッチング
画像の前処理の高速化および自動化
大好評のワークフローツールDirect Processingに、また新たなツールセットが加わりました。ZEN 3.8では、自動取得ワークフローにスティッチングを直接組み込めると同時に、アルゴリズムの最適化と並列処理によるパフォーマンス向上のメリットを得ることができます。
Instance Segmentation
さらに進化したセグメンテーション
Instanceセグメンテーションは現在、arivis AIクラウドプラットフォーム上での注釈付けおよびトレーニングが可能です。ZENでは、画像解析ウィザードとBio Appsツールキットを使用して、この新しいAI機能をワークフローに組み込むことができます。Instanceセグメンテーションを使えば、エラーが発生しやすく制約のある分水嶺アルゴリズムに頼ることなく、互いに近接したオブジェクトであっても正確に分離することができます。
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フローティングライセンス
利用モデルの柔軟性が高まり、ワークステーションリソースの有効活用が実現
ZENとそのツールキットパッケージにフローティングライセンスが導入されたことにより、施設における利用の幅が広がります。これまでZENユーザーは特定のワークステーションに制限されていましたが、その制限がなくなり、インフラリソースをより柔軟に利用できるようになりました。Zstandardによる画像圧縮
イメージングシステムの潜在能力をすべて活用
高度なイメージングシステムの取得速度は、データ保存速度をはるかに上回るため、大規模なデータ実験には限界があります。そこでZEISSは、ZENにロスレスで高速なZstandard圧縮を搭載しました。これにより、最大20倍の圧縮率でデータ保存を高速化し、データエコノミーを最適化することができます。Zstandardは、Direct ProcessingモジュールとZEISS Lattice Lightsheet 7システムの両方に内蔵されています。また、.czi形式であれば、あらゆるデータにオプションで利用可能です。細部スキャンのクラス選択:暗部領域に隣接する緑色陽性細胞
Smart Acquisitionパッケージ
Guided Acquisitionワークフローの改善
Guided Acquisitionモジュールには、より複雑なSmart Imagingワークフローも実行可能な新機能が追加されました。画像解析ウィザードに充実したクラス選択が加わり、どの程度詳細な取得を行うかを細かく調整できるようになりました。
人工知能(AI)対応
オープンモデル構造でモデル交換が可能に
画像解析ソフトウェアでは、深層学習ツールをどこでも利用できるようになりました。ZEISSのソフトウェアポートフォリオも例外ではありません。シンプルなモデル交換をサポートするために、ZENとVision4DはAPEERの深層学習およびサードパーティーモデルの互換性を有しています。確立されたワークフローにおいて、お好きなモデルを無料で適用いただけます。