デコンボリューションツールキットパッケージのイラスト
ZENソフトウェアツールキット

デコンボリューションツールキット ライフサイエンス分野における計算による光学セクショニング法

最先端のイメージングシステムでも、顕微鏡の光学部品・電子部品による画像のボケを避けることはできません。幸いなことに、これは計算によるデコンボリューション法で補正することができます。デコンボリューションツールキットは、ライフサイエンス分野のアプリケーション向けに、こうした各種アルゴリズムを提供しています。

  • ボケを低減。コントラストを強調し、分解能を向上
  • 優先項目に合わせて、豊富なアルゴリズムから選択可能
  • マルチGPU対応でワークフローをスピードアップ
画像のボケを除去し画質を向上
画像のボケを除去し画質を向上

画像のボケを除去し画質を向上

問題を根本から解決

画像のボケは光物性物理学の法則とイメージングシステムの電子部品によって引き起こされるもので、避けることができません。ボケにより、SNR、画像のコントラスト、軸方向と横方向の解像度などの画質の指標が低下します。デコンボリューションを画像に適用すれば、これらの指標を1つずつ、またはすべて一度に最適化できます。

画像:ラット皮質初代培養、4チャネルZスタックによる投影(焦点深度合成)、GPUベースのデコンボリューション。試料ご提供:H. Braun, LSM Bioanalytik GmbH, Magdeburg, Germany

ニーズに合わせて設計された豊富なアルゴリズム

ニーズに合わせて設計された豊富なアルゴリズム

処理スピードや妥協したくないイメージングの質など、優先項目に合わせて選択可能

これまで、いくつかのデコンボリューションアルゴリズムが開発されてきました。ボケが少ないシステムで高速処理できる方法もあれば、ボケが多く難しいシステムでは、多くの計算リソース・時間を使用する高度なアルゴリズムが求められます。この既存のアルゴリズムでも、問題を解決し画像を取得することはできますが、処理時間が大きな障害となる場合があります。ZENデコンボリューションツールキットは豊富なアルゴリズムを提供しており、実験や後処理のニーズに最適なアルゴリズムを選択していただけます。

様々なイメージングシステムの画質を向上
様々なイメージングシステムの画質を向上

様々なイメージングシステムの画質を向上

ワイドフィールド顕微鏡以外にも活用可能なデコンボリューション

従来、デコンボリューションはワイドフィールド蛍光顕微鏡専用のツールと見なされてきましたが、どのイメージングシステムでも光学機器や電子部品によるボケが生じます。従来のワイドフィールド、Apotome、LSMシステム、Lattice Lightsheet 7など、いずれのイメージングシステムでも、画像処理ワークフローにデコンボリューションを組み込むことがメリットになります。最適な結果を得るには、イメージングシステムごとに推奨のアルゴリズムをご使用ください。

簡単な操作と最適化された高性能な機能
簡単な操作と最適化された高性能な機能

簡単な操作と最適化された高性能な機能

進化した機能によりワークフローを自動化

デコンボリューションツールキットのアルゴリズムは、非常に使いやすく、高いパフォーマンスを発揮するよう最適化されています。ZENが画像のメタデータを読み取り、光学系の点像分布関数(PSF)を自動で決定して、デコンボリューションの設定を最適に調整します。GPU処理またはmGPU処理により、アルゴリズムが10倍以上スピードアップします。結果取得にかかる時間を最適化するため、画像取得中は、全デコンボリューションアルゴリズムをZEN Direct Processingで実行します。また、可逆データ圧縮アルゴリズムZstandard(zstd)は、多くのリソースを必要とする処理を更に高速化します。

画像:ミトコンドリア(TOM20-mCherry)と微小管(Tubulin-GFP)を標識したU2OS細胞、反復的制約デコンボリューションの前後。

ZENデコンボリューションツールキット – 基本情報とアプリケーション

画像とボケを分離する方法

点像分布関数(PSF)

点像分布関数(PSF)– ノイズのない画像が物理学上不可能な理由

単一波長 スケールで観察すると、どのような物体でも必ず画像にボケが生じます。 幸い、生じるボケのパターン、すなわち点像分布関数は、 どの物体でも似ています。このパターンは、蛍光の 点源をイメージングする際に直接観察することができます。 


 

点像分布関数(PSF)

ノイズのない画像が物理学上不可能な理由

単一波長スケールで観察すると、どのような物体でも必ず画像にボケが生じます。幸い、生じるボケのパターン、すなわち点像分布関数は、どの物体でも似ています。このパターンは、蛍光の点源をイメージングする際に直接観察することができます。

デコンボリューションの原理

デコンボリューションの原則 – PSFをデジタル画像に適用

コンボリューションとは、関数に他の関数を合わせる演算です。PSFを用いれば、画像のボケは現実の世界の物体のコンボリューションとして解釈できます。幸い、この演算処理は逆転させることができ、この逆転処理がデコンボリューションと呼ばれます。ボケのある画像をPSFの逆関数でコンボリューションすると、ノイズが除去された画像が取得できます。

デコンボリューションとは

PSFをデジタル画像に適用

コンボリューションとは、関数に他の関数を合わせる演算です。PSFを用いれば、画像のボケは現実の世界の物体のコンボリューションとして解釈できます。幸い、この演算処理は逆転させることができ、この逆転処理がデコンボリューションと呼ばれます。ボケのある画像をPSFの逆関数でコンボリューションすると、ノイズが除去された画像が取得できます。

デコンボリューションの原理

デコンボリューションの微調整 – 上級者向け

最高品質のデコンボリューションを行うには、試料調製を含めてシステムの正確なPSFの情報が必要です。ZENでは実際の実験から得たPSFを入力できます。試料の包埋剤、カバーガラス厚さ、奥行き可変PSF、その他のパラメータの情報を提供することで、最適なパラメータとPSFの微調整が可能です。

デコンボリューションの微調整

上級者向け

最高品質のデコンボリューションを行うには、試料調製を含めてシステムの正確なPSFの情報が必要です。ZENでは実際の実験から得たPSFを入力できます。試料の包埋剤、カバーガラス厚さ、奥行き可変PSF、その他のパラメータの情報を提供することで、最適なパラメータとPSFの微調整が可能です。
 

デコンボリューション法の違い

デコンボリューションアルゴリズムを理解するには、画像のボケやPSFに関するコンボリューション、デコンボリューションの基本的なプロセスが重要な鍵となります。ZENの各デコンボリューションアルゴリズムには、この基本的なプロセスのバリエーションが使用されているからです。
ボケ修正や最近傍補間などの単純なアルゴリズムでは、生画像からPSFで生成した画像のボケを減算します。
逆フィルター法では、PSFの逆関数を直接適用します。反復法では、前方PSFを適用して生画像を概算します。

デコンボリューション法

アルゴリズムによる処理

アプリケーション

速度

結果の画質

ボケ修正

同一画像平面からボケを減算

2Dデータセット

非常に高速

中程度(2D)

最近傍補間法

近傍の平面からボケを減算

3D、スタック制限あり

非常に高速

逆フィルター法

PSFの逆関数を適用

フル3Dスタック

高速

中程度

高速反復(Meinel)法

反復、予測画像に前方PSFを適用、誤差関数

完全対称PSF

中程度

良好

高速反復(Richardson-Lucy)法

反復、前方PSF、最尤法

非対称PSF

中程度

良好

反復的制約法

反復、前方PSF、最適化最尤法

ゴールドスタンダード

低速

非常に良好

デコンボリューションのデフォルト設定とオプション

最も関連性が高いイメージングシステム用

イメージングモダリティ

ワイドフィールド 

Apotome

共焦点

Lightsheet

正規化

自動

自動

自動

自動

背景補正

OFF

OFF

OFF

OFF

フリッカー補正

OFF

OFF

OFF

OFF

減衰補正

OFF

OFF

OFF

OFF

ホットピクセル補正

OFF

OFF

OFF

OFF

反復的制約法の初期値

強さ

自動

該当せず

自動

手動、5

尤度

ポワソン

該当せず

ポワソン

ポワソン

正則化

0次

該当せず

1次

0次

最適化

解析的

該当せず

直線探索

解析的

1回目の推算

入力

該当せず

平均

入力

最大インタラクション数

40

該当せず

7

40

自動停止パーセント

0.1

該当せず

0.1

0.1

高速反復法の初期値

メソッド

Meinel

該当せず

Richardson Lucy

Meinel

正則化

なし

該当せず

なし

なし

最適化

なし

該当せず

なし

なし

最大インタラクション数

15

該当せず

50

15

自動停止パーセント

0.1

該当せず

0.1

0.1

正規化逆フィルター法特有の初期値

正則化

0次

0次

0次

0次

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