ZEISS Dynamics Profiler 生体試料中の分子ダイナミクスを容易に観察
1回の簡単な測定で、生体試料内の蛍光タンパク質の分子濃度、非対称拡散、ダイナミクスが明らかになります。現在行っている実験において、細胞培養からオルガノイド、生体全体に至るまで、さらに詳細な分子プロファイルが得られます。
ライブイメージングのさらなる進化
ZEISS Dynamics Profilerのご紹介
分子ダイナミクスを容易に観察
品質管理が組み込まれたガイド付き測定ウィザード
装置の不足や高度なトレーニングを受けた担当者がいないために、分子動力学の実験ができないということがよくあります。Dynamics Profiler機能とAiryscan検出器を用いれば、共焦点顕微鏡に慣れたユーザーなら誰でも、対象のタンパク質に関する分子濃度データや分子ダイナミクスデータの収集において、従来の共焦点イメージング以上の成果を出すことができます(Dynamics Profilerは、ZEISS共焦点顕微鏡へ容易に追加可能)。ガイド付きウィザードによるワークフローでは、正確な取得設定ができるとともに、データ品質管理も簡単です。リファレンス画像は、試料の背景情報や測定位置の記録に有用で、包括的なデータ可視化により、取得した情報に直感的にアクセスできます。
生体試料から得られる新しい知見
実験に分子ダイナミクスの測定をプラス
これまで共焦点顕微鏡ユーザーは、各試料の測定が1回しかできない、露光による光毒性があるなどの制約があるものの、光退色後蛍光回復法(FRAP)などの手法を駆使して分子動力学の測定を行ってきました。従来の蛍光相関分光法(FCS)は、蛍光タンパク質の濃度の正確な測定の際に用いることができますが、追加の装置が必要となるだけでなく、経験豊富なユーザーにとっても困難な技法です。直感的で使いやすいインターフェースを搭載したDynamics Profilerは、実験中に共焦点イメージングを行いながら、短時間かつ少ない露光で分子ダイナミクスデータを簡単に取得できる初のツールです。FCSを基に開発された独自の方法により、明るく測定しにくい試料でも測定できます。
新しい分子的知見を得る
空間相関情報を用いた非対称拡散分析と流量分析
従来のFCSによる分子測定では、単一励起のボリュームしか扱えないという制約がありました。Airyscan領域検出器を用いることでDynamics Profilerがさらなる空間情報を取得するため、1回の測定で詳細でこれまでにない分子プロファイル分析が可能となります。非対称拡散ツールは、例えば細胞内の凝縮物につながる液液相分離の界面など、単一点像分布関数内で非対称拡散の挙動を捉えることができます。流量分析ツールは、たった1回の励起のボリューム内で蛍光分子の速度と方向を測定でき、臓器チップなどのマイクロ流体システムや血流内の生物学的過程など、溶液の活発な運動の測定に最適です。各測定の生データは、さらにカスタマイズされた分析に利用できます。
バックグラウンドテクノロジー
Airyscanの明るい試料に対するFCSで新たな空間情報を取得
蛍光相関分光法(FCS)は、分子特性の確立された調査法です。FCSは正確で非常に高感度な方法でありながら、従来は、実験用の発現レベル未満の極低発現レベルや低分子濃度の生体試料にしか用いることができませんでした。
ZEISS Airyscanでは、独自の方法で検出素子すべてを用いて、FCSでの測定ごとに、輝度の32のトレースを取得します。明るい試料であっても、内側にある素子19個の平均値を用いて分子濃度と分子ダイナミクスを確実に測定し、信頼できるデータが取得できます。さらに、この領域検出器では、単独の検出素子を組み合わせることで、さまざまな空間相互相関の分析が可能となります。
ZEISS Dynamics Profilerのアプリケーション例
分子動力学測定のアプリケーション例
異なる細胞の分子濃度測定の比較
共焦点顕微鏡での実験に、蛍光タンパク質の動力学や濃度の測定を追加するのは簡単です。この試料は、第3イントロンにおいて、hand cardiac and hematopoeitic enhancerのコントロール下でmCherryを発現するキイロショウジョウバエ胚です(HanおよびOlson、2005)。レポーター遺伝子の発現が、心臓における内因性Hand遺伝子の発現に似ており、発現は心臓芽細胞および囲心細胞において胚子形成を通して維持されました。このような明るい試料でも、Dynamics ProfilerではFCSで確実なデータ収集が可能なため、異なる細胞の分子濃度を比較できます。
従来の蛍光オーバービュー画像(左)およびZスタック(中央)。その後、同じ胚をDynamics Profilerを用いて同一のシステムで測定した結果(右)。グラフとデータ表は、5つの異なるスポットにおける測定結果。
核小体の境界におけるダイナミックな変化を捉える
核小体の境界におけるダイナミックな変化を捉える
単量体赤色蛍光タンパク質でタグをつけた核小体タンパク質フィブリラリンと4量体EGFPを一時的に共発現した生きているU-2 OS細胞を、核小体の境界でDynamics Profilerを用いて測定、共焦点オーバービュー画像に示しました。
極座標ヒートマップ:スポット1(上段)とスポット2(下段)の非対称拡散測定結果。核小体の境界におけるEGFPの分子動力学データを測定しました。
グラフ:スポット1(左)とスポット2(右)において、6つの角度に沿った内側のAiryscan素子のペアの相関を用いて、非対称拡散を測定した結果。
ゼブラフィッシュ幼生の血管内の血流速度を測定する
ゼブラフィッシュ幼生の血管内の血流速度を測定する
Airyscan検出器で得られる空間情報を分析すれば、血液中の分子の流速を求めることができます。テトラメチルローダミンで標識したデキストラン(10 kDa、Dynamics Profilerで測定)およびフルオレセインで標識したデキストラン(40 kDa、血管を標識)を、低融点アガロース1%に包埋した5日齢のゼブラフィッシュ幼生の血管に注入しました。
リファレンス画像およびLSM 980 with Airyscan 2で取得したDynamics Profilerのデータ。血管中の分子流の方向と速度を、2つの異なるスポットにおいて測定。グラフ(右)はスポット1の測定の相関曲線を示しており、上が選択した角度の相関曲線、下が3つの軸に沿った6つの相互相関から得られた実際の流速と方向の結果です。