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ZENソフトウェアツールキット
分子定量化ツールキット
動態研究
ZEISSイメージングシステムは、フォトブリーチや光活性化、レシオメトリックイメージングを含む実験を可能にします。このツールキットは、フォトブリーチ後蛍光回復法(FRAP)や蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)とそのレシオメトリック解析向けの専用ユーザーインターフェースを含んでおり、このような実験の取得と解析のための高度な機能を提供します。
画像ご提供:Birgit Kraus, Institute for Pharmaceutical Biology, Regensburg, Germany
ピクセル単位のフォトマニピュレーション
フォトブリーチ実験を成功させるための前提条件
フォトブリーチや光活性化実験では、操作する細胞小器官や凝縮体の細胞区画を正確に定義する必要があります。ZEN分子定量化ツールキットを使用すると、手作業または自動解析により、関心領域を簡単に設定し、ブリーチング領域またはコントロール領域に分けることができます。共焦点システムのレーザー技術により、これらの領域は、最も効率的な波長と輝度で、ピクセルごとに焦点を合わせられます。
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ガイド付き解析とビジュアライゼーション
複雑な解析を簡素化し、優れた可視化を実現
分子ダイナミクス実験では、参照領域や画像の統合、または指数曲線フィッティングを必要とする高度な解析が求められます。本ツールキットは、FRAPにおける1次または2次の速度論からの拡散定数、FRET効率計算のためのあらゆる典型的な方法、および柔軟なレシオメトリック解析など、フォトマニピュレーションアプリケーションのためのガイド付き解析を提供します。さらに、結果を見た目に美しく可視化することもできます。
画像ご提供:Dr. Roberto Levi in the laboratory of Dr. Randi Silver, Cornell-Weill University, New York, USA
ワークフローのカスタマイズと自動化
ダイナミクス実験の可能性を最大化
本ツールキットはさらに、さまざまなレベルでカスタマイズと自動化が可能です。フレームレートなどの画像取得パラメータをリアルタイムで変更し、素早い動態を捉えることができます。ブリーチプロトコルは、輝度、波長、滞留時間などを最適化でき、各蛍光色素に最適な条件を見つけることができます。また、最適なパラメータを確立した後は、任意の数の領域とイメージングシーンに対して、完全自動でブリーチ実験を行うことが可能です。
FRAPとは
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FRAPの原理
フォトブリーチで分子動態を観察
フォトブリーチ後蛍光回復(FRAP)法は、蛍光分子の動態を調べる方法です。蛍光色素は小さな領域で不可逆的に不活性化されます。隣接する蛍光分子がこの領域と交換する速度によって、拡散速度や、結合分子と非結合分子の量を判断できます。
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FRAPのバリエーション
各種フォトブリーチ手法とそれぞれの用途
標準的なFRAP以外にも、さまざまな関連する手法が存在します。逆FRAP(iFRAP)と「フォトブリーチ内蛍光減衰(FLIP)」により、ある領域(細胞小器官など)がその環境に活発に反応しているのか、それとも孤立しているのかを判断できるようにます。「フォトブリーチ後蛍光回復(FLAP)」は、ターゲット分子の正確な空間決定を可能にします。本ツールキットはこれらすべての手法に対応しています。
FRETとは
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FRETの概要
物理的原理および分子設計
測定において、FRETは非常に近接した(10 nm未満)2つの蛍光色素間のエネルギー移動である蛍光共鳴エネルギー移動の物理原理を利用します。これにより、タンパク質の動的な会合や解離の詳細が高精度に明らかになります。
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Acceptor Photobleaching法
蛍光共鳴エネルギー移動が簡単に
本ツールキットには2つの主要なFRET法専用のワークフローがあり、1つ目はAcceptor Photobleaching法です。ここでは、アクセプターチャネルで関心領域がブリーチされます。これはアクセプターの不活性化につながり、ドナーからの蛍光共鳴エネルギー移動を妨げます。
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Sensitized Emission法
完全な空間的および時間分解能を持つFRET
Sensitized Emission法により、ライブイメージングモードでの測定とFRETイベントの正確な位置確認が可能になります。このためには、参照試料を記録し、ドナーとアクセプターの発光スペクトルを別々に記録する必要がありますが、画像補正は解析ウィザードにて簡単に行えます。異なる分子密度に対して最適化された3つの異なるアルゴリズムが利用可能です。